2017.04.01|陶器
【作家紹介】小川麻美さん(陶)
小川麻美さんの工房は、住宅街のはずれにある平屋の一軒家。大家さんが育てる野菜がすくすくと育つ畑の庭を囲むように
母屋と離れが建ち、日差しを浴びてのどかな雰囲気が漂います。畑の正面の離れを工房に、住まいの母屋と行ったり来たり。
生活と作陶のスイッチをほどよく切り替えて、それぞれの時間を大切に
する暮らしから、日々の生活にしっくりなじむ器がうまれるのです。器好きで料理上手のお母さまの影響から陶芸の道へと進むようになった麻美さん。
会社員として仕事をしながら週末ごと陶芸教室に通い、
独学で作家になったというと、趣味が高じた成り行きのようですが
現在に至るご活躍の背景には、好きを超えたみずからと向き合う強い意志や
計り知れない努力があったはず。粉引や黄粉引、炭化など、シンプルながら独自の作風を極め
最近は土味に富んだ作品へと、キャリアを重ねるごとに作品に奥行きが加わりました。うかがったのは冬のおわり。
小さなキッチンにはザルや調理道具、さまざまな形の土鍋など、
麻美さんの作品がさりげなく溶け込んで空間の一部のよう。土鍋の蓋をあけると、炊きたてのご飯が湯気がほわっとあがり、
耐熱の角皿に冬野菜が彩りよく蒸しあがっています。
ドレッシングをかける小さなピッチャーも定番の作品。
毎日の生活を楽しむ延長上に器づくりがあるのだとつくづく。「おいしい食卓を囲む人が一人でも増えれば」という気持ちを込めて
暮らしのなかから生まれる器。
今年の朝ごはん展に、どんな器を作ってくれるでしょうか?
新しいことがはじまる4月、麻美さんの器との出会いがとても楽しみです。