【作家紹介】安福由美子さん(陶)
いよいよ17日(木)から「集いの食卓」がはじまります。
企画展にさきがけ、先日大阪・堺で行われたクラフトフェア「灯しびとの集い」に
参加された安福さんに会いにうかがいました。
錆鉄を思わせる器や、フォルムが際立つ造形、マットな耐熱鍋など美しい器を前に
丹念に選ぶ来場者で安福さんのブースは人だかりが絶えず、常に賑わっていました。
はじめて安福さんがクラフトフェアに参加したのはちょうど1年前の「灯しびとの集い」。
それまでほとんど地元のギャラリーや知人からのオーダーなど
お住いの岐阜を中心に活動をされていました。
現在にいたる安福さんの経歴はちょっとユニークです。
デコレーターとして活躍された後、
趣味ではじめた陶芸をさらに追求するため、
30代で京都造形芸術大学に入学。
卒業後は作陶を続けながら、岐阜駅近くにカフェをオープンされます。
器はもちろん、ランチやケーキもすべて安福さんの手によるもの。
アンティークの家具を配した心地よい雰囲気も手伝って
人気を集める一方で、お客さんを中心に、器の注文を受ける機会が増えます。
その数がどんどん増えるにつれ、一人で切り盛りしていた
カフェと作陶の両立が難しくなり、惜しまれながらも2013年にクローズ。
作陶一本の生活にシフトしたのを機に、もう少したくさんの方に見てもらいたいと
応募した大阪・堺のクラフトフェア「灯しび人のつどい」に2015年に初参加。
今年はクラフト作家の登竜門「松本クラフトフェア」にも参加されました。
思うままに人生を切り開かれた経歴を聞くと
なんだかエネルギーに満ちあふれたパワフルな女性をイメージしますが
ご本人はむしろやわらかな物腰の上品なお方。
早くも全国のお店からオファーが続いているようですが、
あくまで好きなことを求められるままに追求した結果、
陶芸家と呼ばれることに、ためらいすら感じている風です。
花器や耐熱、照明、オブジェなど幅広い作品に積極的に取り組まれているのも
幅広いお仕事に関わってこられた自然な発想なのでしょう。
安福さんの工房兼ご自宅におじゃましたときに、
その漠然とした印象が確信に変わりました。
木をふんだんに使ったシンプルモダンな住まいは丁寧に手入れされ、
レザー張りのソファとともに、年月を経て美しく光沢を放っていました。
住まいの片隅にレイアウトされた工房は
シンボルツリーが枝を広げる庭とリビングを眺める住まいの特等席。
キッチンからすぐアクセスできる場所にレイアウトされ
料理をつくるように、生活の一部として
器をつくられることを楽しんでいらっしゃるのだと思いました。
そして厚かましくいただいたお昼ご飯のおいしかったこと。
モノトーンの洋服をシックに着こなすお姿と同様、
料理や器、そして空間といった暮らしのすべてが調和を保つ様子に、
ただただ圧倒されました。年齢や経験を経てこそ漂う上質さ。
自らの感性に従い、貫かれてきたこれまでの道のりを垣間見た気がしました。
安福さんの作品のなかでも錆び鉄の作品は代表作のひとつ。
たおやかでストイック。そんな安福さんの作品をぜひ手に触れて
感じていただけると幸いです。
【企画展】集いの食卓〜阿部慎太朗、稲吉善光、安福由美子(陶)+沖澤康平(ガラス)
<11月17日(木)〜26日(土)>
秋の深まりとともに、気のおけない仲間と集う機会が増える時期。
11月は、大勢で囲むときの食卓で活躍する
3名の陶芸家とガラス作家による器展を行います。
今春にご紹介を始めて以来、好評をいただいている稲吉善光さん、
金属を思わせる鈍い光を放つ器にストイックなセンスが漂う安福由美子さん、
アンティークを思わせる装飾が美しい阿部慎太朗さん、
そして透明感あふれるガラスを手がける沖澤康平さん。
どんな料理を盛り付けよう!と気分を上げてくれる器ばかり。
独自の存在感を備えた器は、テーブルでも異彩を放ち
集いの場をいっそう楽しく彩ります。
20日〜23日は「warmerwarmer」の古来種野菜の販売も予定。
本来の味わいに満ちた野菜は形も味も個性豊か。
手間をかけずともご馳走になります。
<集いの食卓>
11月17日(木)〜26日(土)*会期中無休
参加作家/阿部慎太朗、稲吉善光、安福由美子(陶)
沖澤康平(ガラス)
<ワークショップ>
▪︎11月20日(日)10時〜
「古来種野菜を食べてみよう!」参加費¥2500(お土産野菜つき)
稀少となった古来種野菜を全国から集め紹介する「warmaerwarmaer」。
代表の高橋さんに古来種野菜についてうかがいながら、おいしい食べ方、
また本物のオーガニックとは?をうかがいます。
詳細はこちら→⚪︎
【入荷情報】八木橋昇さんの器
信楽で作陶されている八木橋昇さんから器が入荷しました。
八木橋さんは耐熱器からポットやプレートまで
幅広いアイテムを作られるだけでなく、粉引や黒釉、黒呉須といった
表情豊かな風合いが魅力です。
蹴轆轤(けろくろ)でつくられる器はどれも軽くて丈夫。
耐熱鍋すらびっくりするほど軽いんですよ。
ポットの注ぎ口のキレも抜群。
細部まで手を抜くことのない丁寧な仕事ぶりが伺えます。
フラットなプレートもリピーターの多いアイテム。
縁が丸い玉のようになっているので玉縁皿と名付けられています。
フラットなので盛り付けやすく、重ねて収納するときも
無駄がありません。
白のほか黒呉須、黒釉が入荷しています。
どれも手にするほどに使いやすさを実感するものばかり。
いつお会いしても控えめで誠実な八木橋さんのお人柄が
滲み出ている気がします。
<入荷アイテム>
ミルクパン・黒(直径約11cm 高さ約9cm 取っ手を含む全長約20.5cm)4500円
片手鍋・黒/白(直径約16cm 高さ約8.5cm 取っ手を含む全長約24cm)5500円
スープ鍋・黒/白(内口径約22cm 高さ約13.5cm 取っ手を含めた全長約31cm)17000円
オーバルグラタン皿(幅約28cm 奥行き約20㎝ 高さ約7㎝)7500円
玉縁4寸皿・黒(直径約12cm 高さ約1.5㎝)1500円
玉縁5.5寸皿・黒呉須(直径約17㎝ 高さ約1.5㎝)2700円
玉縁6寸皿・粉引(直径約18.5㎝ 高さ約2cm)2700円
黒釉 丸ポット(直径約11㎝ 高さ約13.5㎝ 取っ手を含む全長約17cm)9500円
黒呉須 長ポット(直径約10㎝ 高さ約5.5㎝ 取っ手を含む全長約17cm)9800円
八木橋さんのOnline shopへ >>
【入荷情報】小川麻美さんの器
梅雨空が続きますが、器の入荷情報です。
ただいまcopseでリピーター率ナンバー1の小川麻美さんの器です。
炭化しのぎリム皿はなかでも人気のアイテム。
ただいまSS、S、M、Lと4サイズ揃っています。
重ねると花びらのようにしのぎが広がって綺麗。
精緻なしのぎをひとつひとつ手で削って
仕上げていると思うと、それだけで感動します。
今回ははじめて白マットのマグとスープマグもお願いしました。
大きめのマグはたっぷりコーヒーやお茶を楽しみたい方によさそう。
一度使うと虜になる、小川さんの器をぜひ使ってみてくださいね。
炭化しのぎプレートSS 1700円
炭化しのぎプレートS 2600円
炭化しのぎプレートM 3200円
白マット マグ 2700円
白マット スープマグ 2800円
【入荷情報】稲吉善光さんの器
久々に器が入荷!しかもcopse初登場の作家さんです。
笠間で作陶されている稲吉善光(いなよし・よしみつ)さんの器が入荷しました。
土ものらしい作品に以前から注目していましたが、
実物を見てこれまで出会ったことのない質感や
力強い存在感に圧倒され、ぜひご紹介したい!とお願いした次第です。
「暑い時期は私の作る器はなかなか合いませんが、
それでも紹介していただけて心躍ります」と、
たくさんの作品に添えて、ご丁寧なお手紙もいただきました。
あっさりした食べ物が欲しくなるように、夏は磁器や染付など涼やかな器が似合います。
でも夏こそ、食材をそのまま生かした、ダイナミックな料理が似合う季節。
さっそく朝どりトマトときゅうりのサラダを盛りつけたり、
ズッキーニたっぷりのカレーにと使ってみましたが
おおらかかつ色鮮やかに受け止める稲吉さんの器が食卓の主役となりました。
代表作ともいえる鉄釉の作品は、表面に細かく入った貫入が特徴。
釉薬の下にかけている化粧土が細かくひび割れを起こすことで
独自の風合いをつくり出します。
墨手の器はグレーが陰影を醸して、こちらも落ち着いた風合いが格別です。
先日、笠間の工房におじゃましましたが、見渡す限り田んぼと
山の緑に囲まれた人里離れた場所で作陶されていました。
大きなガス窯のある工房もセルフビルド。
デスクの前の窓から常に緑を眺める気持ちの良いものづくりの場所に、
おだやかな暮らしの一端をみた思いをしました。
「だんだん技術がついてくると、ろくろをひくのも上手になるんだけど、
逆に味わいが失われ、つまらない器になると気づいたんです。
だから、あえて無骨に厚く重く挽いてみようと最近意識するようになりました」と稲吉さん。
ぜひ見ていただきたいのが高台。裏側の土台の部分です。
削ってきれいに仕上げることが多いですが、稲吉さんの器は
高台の裏側まで釉薬がしっかりまわって美しい景色を作り出しています。
茶碗の最高峰といわれる井戸茶碗は、高台のまわりにできる梅花皮(かいらぎ)と呼ばれる
釉薬の縮れが器の価値や表情を決める目安のひとつとされていますが
稲吉さんの器に出会い、簡素な美しさをたたえたところに
器本来の魅力があるのだと気付かされた気がします。
静かな光を放つ陰影に富んだ器を、どうか手にとって味わっていただければ幸いです。
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【入荷情報】小川麻美さんの器
昨日は企画展明けの雨もようの日にもかかわらずたくさんの方で賑わいました。
久々のランチも盛況で、うれしい一日でした。
久々に陶芸家の小川麻美さんから器が入荷。
人気の炭化のプレートが入荷しましたが、すでに残りわずか。追加分も近日中?に入荷予定です。
炭化のプレート(¥4500)は高温で焼きあげたあと、煙でいぶすようにして仕上げるのが特徴。
そのときどきで異なる表情も魅力です。
炭化のスープマグ(¥2800)や黄粉引のマグ(¥2500)も入荷しています。
いずれもリピーターの方からのご要望の多いアイテム。
すぐれた器は日々使ってこそよさが実感できることの表れだと思います。
【作家紹介】稲吉善光さん(陶)
土味に富んだ存在感あふれる器をつくる稲吉さん。
器本来の魅力を備えた器をご紹介したいと、
長年の思いの末、辿り着いたのが稲吉さんでした。
茨城・笠間の山の中。
ご自宅と工房は見渡す限り田んぼと山に囲まれ、
見上げると窓いっぱいに緑が広がります。
瞑想しながら作陶を極めるには、この上ないロケーション。
瞑想されているかどうか存じ上げませんが、
稲吉さんの作り出す独創的かつ力強い器を手にすると、
器への深い思いと、尽きることのない探究心を感じます。
きっとご自分と対峙しながら、瞑想するように作り出しているのでしょう。
表面がひび割れたような表情を描く鉄釉の器、
グレーの陰影が趣を醸す墨手の器。
どれも静かに存在感を漂わせながら、
土味に富んだ器はどんな料理もおおらかに受け止め、
いつもの食卓をはっとするほど美しく引き立てます。
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【花器展】「花器のある暮らし」明日最終日
盛況をいただいております「花器のある暮らし」展もいよいよ明日が最終日となります。
日ごとに新緑が萌え出ずるころ、季節を満喫していただける展示ができて本当によかったと思います。
花や緑を身近に過ごすだけで心が静まり、穏やかな気持ちになりますね。
なにより、眺めていたい器があるだけで、住まいに飾る場が生まれ、それが顔となる気がします。
毎日、器たちをディスプレイしながら、最終日直前に駆けつけた東京ステーションギャラリーのジョルジョ・モランディ展を思い出しました。
モランディはものを描くと同時にものとものとの関係に美しさを見出し、生涯をかけてそのテーマを追求しました。
配置によって微妙に変わるものともののバランス、陰影、フォルム感など、作品展からいかにものを配置するかということを教えられたような気がします。
少しは今回の展示に生かされたでしょうか?
まだ素敵な作品がたくさん揃っておりますので、どうかお見逃しなくいらしてください。
なお24日(日)はお休みをいただきますのでご了承くださいませ。
「花器のある暮らし」
4月14日(木)〜23日(土)*会期中無休
参加作家/厚川文子、長田佳子、小川麻美、福岡彩子、安永正臣(陶)、井上枝利奈、伊藤嘉輝(ガラス)
【花器展】安永正臣さんの花器
釉薬の筒型器 ¥40000
「花器のある暮らし」展もいよいよ終盤となりました。
瓜型の焼締 ¥10000
先日の雨宮ゆかさんの花活け講座でも大活躍だったのが陶芸家の安永正臣さんの作品。安永さんの作品に数名の方よりお問い合わせいただきましたので、こちらでご紹介させていただきます。安永さんは焼き物の産地、三重県伊賀で焼締や白磁など土味のする作品を制作されています。
筒型の焼締 ¥25000
焼締は通常、釉薬をかけず高温で焼きあげた器を指しますが、安永さんの焼締は硬質な表情を備えながら、釉薬や泥を加えて、何度も焼いてイメージするテクスチュアに仕上げているそうで、オブジェのような佇まいが魅力。
釉薬の丸型器 ¥22000
また、石を削り出したような丸味を帯びた白い器は、釉薬のみを素材につくりあげたもの。斬新な手法により、やわらかなフォルムと独特の質感を表現することに成功しています。
白磁 ¥22000
蓋物(蓋つき)¥22000
「お茶碗展」や「コップとカップ展」にご参加いただいて以来でしたが、数年ぶりに拝見して格段に作風が広がり、素晴らしいお仕事をされていることに驚かされました。
白磁のマグ 各¥3000
陶土や釉薬を扱う店で働いたご経験を生かして、素材を駆使しながら作り上げる豊かな表情はもちろんですが、どれも作為を感じさせない自然から生まれたようなテクスチュアを備えていて惚れ惚れします。
発送にも対応しております。サイズや詳細などお問い合わせありましたらcopse <info@copse.biz>にご連絡くださいませ。
壺 ¥15000
焼締壺(大)¥22000、(小)¥3500
「花器のある暮らし」
4月14日(木)〜23日(土)*会期中無休
参加作家/厚川文子、長田佳子、小川麻美、福岡彩子、安永正臣(陶)、井上枝利奈、伊藤嘉輝(ガラス)
【イベント】明日はBlanc chienのパン!
花器のある暮らし展も3日を過ぎ、器はもちろんお花を楽しみにたくさんの方にいらしていただいております。今日はガラスの井上枝利奈さんから追加作品も到着して、ますます華やいだ雰囲気になりました。
明日は富士見台のパン屋さん、Blanc chien(ブランシャン)の天然酵母パンの販売です。Blanc chienは住宅街にある小さなパン屋さん。週に2度の営業ですが、遠方からわざわざ買いに来る方やお取り寄せする方も多いという、パン好きのなかでは知られた名店。そういえば今回ご参加いただいている大阪在住の陶芸家・福岡彩子さんもBlanc chienさんをご存知で、びっくり!明日、たくさん作ってくださる予定なので、楽しみにいらしてくださいね。
「花器のある暮らし」
4月14日(木)〜23日(土)*会期中無休
参加作家/厚川文子、長田佳子、小川麻美、福岡彩子、安永正臣(陶)、井上枝利奈、伊藤嘉輝(ガラス)